山犬の 轟き集い 月見ゆる 瞼に宿し 君の顔見ゆ


おそれなのか知らぬものへの恐怖なのか
夜の山路を歩くと、静寂のなかに動物たちの声が響き渡り、風が木々の間をくぐり抜ける音が耳に届きます。
その小さなざわめきは、私の心をふと揺らし、不思議な感覚に包まれます。
おそれでしょうか、それとも知らぬものへの畏れなのでしょうか。
この曖昧な気持ちを言葉に紡ぎ、和歌として表現してみました。
和歌の中で、夜の闇にひそむ静けさと、心の奥に芽生える複雑な感情をそっと映し出すことができればと思います。
まるで自然と心がひとつになり、その不安と畏敬の念が共鳴するかのように。
静かな夜の山路は、ただの通り道ではなく、私にとって心の深いところと向き合う時間でもあります。
その瞬間の気配を大切にしながら、詩としてのかたちにしました。
意訳
山の静寂に響く遠吠えの中、月を見上げる。
その光の奥に、忘れかけていた君の面影がそっと浮かんだ。