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	<title>和歌集  |  和歌 歌人の那岐</title>
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	<title>和歌集  |  和歌 歌人の那岐</title>
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		<title>光降る 清川の音 凪澄みて 夜風に乱る 満天の蛍</title>
		<link>https://na-gi.net/case/63/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[tumu-tutumu]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 29 Jun 2025 14:27:45 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[清川の音とホタルに懐かしさを感じて 山間の澄んだ川を訪れると、あたりには絶え間ないせせらぎの音が響いています。水面は細やかな光を返し、その上を夜の気配がそっと覆いはじめるころ。ふいに、小さな命の光がいくつも現れて、暗い空・・・]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<h2 class="wp-block-heading">清川の音とホタルに懐かしさを感じて</h2>



<p class="wp-block-paragraph">山間の澄んだ川を訪れると、あたりには絶え間ないせせらぎの音が響いています。<br>水面は細やかな光を返し、その上を夜の気配がそっと覆いはじめるころ。<br>ふいに、小さな命の光がいくつも現れて、暗い空間にやわらかく灯をともします。</p>



<p class="wp-block-paragraph">ホタルの光は、何度見ても胸の奥が少しきゅっとなるほど素敵なものです。<br>夜風に身をゆだねながら、ただ無心に光の行方を目で追っていると、心に積もった塵のような思い煩いが、一つひとつそっと溶けていくように感じられます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">昔はこうした光景に触れる機会がもっと身近にあったそうです。<br>けれど、いつの間にかそれは遠いものとなり、今では山や川のある場所に足を運ばなければ見られない光になりました。<br>だからでしょうか。年に一度は無性にホタルに会いたくなり、夜道を選んで川へと向かいます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">蛍がふわりと舞い、またひとつ、またひとつと闇に浮かぶ様子は、どこか懐かしく、そして少し切なくもあります。<br>そこには確かに命のきらめきがあり、けれどそれはほんの束の間で、すぐにまた暗闇に還っていってしまう。<br>そのはかなさに、どうしようもなく惹かれてしまうのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">そんな夜に感じた想いを、そっと言葉に置き換えるようにして詠んだのが、この和歌です。<br>光を追いながらも、音を聴きながらも、心はいつもどこか遠くに向かって手を伸ばしているような気がします。<br>ホタルの灯が消えたあとも、その余韻だけは長く胸に残り続けて、また来年もきっと、同じ川辺に立つのだろうと思います。</p>



<p class="wp-block-paragraph">それはただ好きだから、という一言では言い尽くせない何かで、けれどやっぱり、好きだからなのだとしか言いようがないのかもしれません。<br>こうして毎年、ホタルに会うたびに同じ想いを繰り返している自分を、少し可笑しく、少し愛おしく感じながら…<br>今年もまた、一首をそっと胸の中に置きました。</p>



<h3 class="wp-block-heading">ふりがな</h3>



<p class="wp-block-paragraph">ひかりふる<br>きよかわのおと<br>なぎすみて<br>よかぜにみだる<br>まんてんのほたる</p>



<h3 class="wp-block-heading">意訳</h3>



<p class="wp-block-paragraph">川のせせらぎが澄んだ夜気に溶け、風も止んで静まり返ったその水辺に、ふいに光がこぼれる。</p>



<p class="wp-block-paragraph">蛍たちが夜風にそっと舞い乱れ、星空と見まがうほどに、あたり一面をやさしく照らしていた。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>紅広ぐ 海に溶けゆく 空の下 月も上がりぬ 満点の君</title>
		<link>https://na-gi.net/case/61/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[tumu-tutumu]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 29 Jun 2025 06:46:33 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[海と空の境を、幼い頃からずっと不思議に思っていました。水平線を見つめていると、その線はあまりにも遠くにあって、はっきりとそこにあるはずなのに、どこかあやふやで、気づけば海と空とが溶け合ってしまうような錯覚におちいることが・・・]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p class="wp-block-paragraph">海と空の境を、幼い頃からずっと不思議に思っていました。<br>水平線を見つめていると、その線はあまりにも遠くにあって、はっきりとそこにあるはずなのに、どこかあやふやで、気づけば海と空とが溶け合ってしまうような錯覚におちいることがありました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">小さなころは、ただ面白がってその景色を眺めていたものです。海の青と空の青がゆっくりと混じり合い、一体となっていく様子は、見ているだけで胸がすうっと軽くなるような、不思議な安らぎがありました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">やがて歳を重ね、大人になってからも、水平線は変わらずそこにあります。けれど、夕暮れ時の海が少しずつ星を散らす夜空へと変わっていく様子を見ていると、子どもの頃とはまた違う感情が胸を過ぎるようになりました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">日が沈み、あたたかな紅が静かに消えていく。そのあとを追うように、ひっそりと夜が満ちてくる。その移ろいを眺めながら、人の心もまたこうして、ひとつの想いが色を変え、やがて別の想いに塗り替わっていくものなのかもしれない。そんなことを、ぼんやりと考えるのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">この和歌は、そうして移ろいゆく景色を、人の心にそっと重ね合わせるように詠んだものです。<br>消えていくもの、溶けていくものの中に、なお残り続ける光があるのだと信じたくて。<br>水平線を見つめながら、今日もまた、言葉をそっとすくい上げています。</p>



<h3 class="wp-block-heading">意訳</h3>



<p class="wp-block-paragraph">夕焼けが、海と空の境にゆるやかに溶けていく。<br>その色の中に、夜が静かにやってくる。<br>やがて、空には月がのぼり、星が灯り、そのすべてを映したような、満点の笑顔の君。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>天雫 ラムネの如く ふつふつと 湧水浮かぶ 幼心と</title>
		<link>https://na-gi.net/case/56/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[tumu-tutumu]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 20 Jun 2025 14:05:40 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[意訳 空からぽつりと落ちてきた雫が泡立つ。 どこか懐かしい、夏の風の中のラムネの泡のように。 湧き水のほとりで、ふいに思い出すのは、とりとめもない、けれど確かにそこにあった幼い日の心。 触れればこぼれてしまいそうな、それ・・・]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<h3 class="wp-block-heading">意訳</h3>



<p class="wp-block-paragraph">空からぽつりと落ちてきた雫が泡立つ。</p>



<p class="wp-block-paragraph">どこか懐かしい、夏の風の中のラムネの泡のように。</p>



<p class="wp-block-paragraph">湧き水のほとりで、ふいに思い出すのは、<br>とりとめもない、けれど確かにそこにあった幼い日の心。</p>



<p class="wp-block-paragraph">触れればこぼれてしまいそうな、それでも静かに浮かびあがるもの。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>星空に 袖降る人ぞ 夢人の いづれ交わした 約束の風に</title>
		<link>https://na-gi.net/case/53/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[tumu-tutumu]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 20 Jun 2025 07:11:22 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[夏の夜の星空に吹く風 夏の夜空に浮かぶ月。星々がきらめき、雲がそっと流れていく。 同じ空を、もしあの人も見上げているのだとしたら。ふと、あのとき交わした言葉や、静かに心を通わせた夜を思い出す。 意訳 星降る夜、誰かが袖を・・・]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<h2 class="wp-block-heading">夏の夜の星空に吹く風</h2>



<p class="wp-block-paragraph">夏の夜空に浮かぶ月。星々がきらめき、雲がそっと流れていく。</p>



<p class="wp-block-paragraph">同じ空を、もしあの人も見上げているのだとしたら。<br>ふと、あのとき交わした言葉や、静かに心を通わせた夜を思い出す。</p>



<h3 class="wp-block-heading">意訳</h3>



<p class="wp-block-paragraph">星降る夜、誰かが袖を振っている。<br>それは、いつか夢の中で交わした約束が、風に乗って応えているのかもしれない。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>山犬の 轟き集い 月見ゆる 瞼に宿し 君の顔見ゆ</title>
		<link>https://na-gi.net/case/51/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[tumu-tutumu]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 20 Jun 2025 02:49:58 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[おそれなのか知らぬものへの恐怖なのか 夜の山路を歩くと、静寂のなかに動物たちの声が響き渡り、風が木々の間をくぐり抜ける音が耳に届きます。 その小さなざわめきは、私の心をふと揺らし、不思議な感覚に包まれます。 おそれでしょ・・・]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<h2 class="wp-block-heading">おそれなのか知らぬものへの恐怖なのか</h2>



<p class="wp-block-paragraph">夜の山路を歩くと、静寂のなかに動物たちの声が響き渡り、風が木々の間をくぐり抜ける音が耳に届きます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">その小さなざわめきは、私の心をふと揺らし、不思議な感覚に包まれます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">おそれでしょうか、それとも知らぬものへの畏れなのでしょうか。</p>



<p class="wp-block-paragraph">この曖昧な気持ちを言葉に紡ぎ、和歌として表現してみました。</p>



<p class="wp-block-paragraph">和歌の中で、夜の闇にひそむ静けさと、心の奥に芽生える複雑な感情をそっと映し出すことができればと思います。</p>



<p class="wp-block-paragraph">まるで自然と心がひとつになり、その不安と畏敬の念が共鳴するかのように。</p>



<p class="wp-block-paragraph">静かな夜の山路は、ただの通り道ではなく、私にとって心の深いところと向き合う時間でもあります。</p>



<p class="wp-block-paragraph">その瞬間の気配を大切にしながら、詩としてのかたちにしました。</p>



<h3 class="wp-block-heading">意訳</h3>



<p class="wp-block-paragraph">山の静寂に響く遠吠えの中、月を見上げる。<br>その光の奥に、忘れかけていた君の面影がそっと浮かんだ。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>海神よ 空溶かして いづる日も 運び見守る 永遠の育み</title>
		<link>https://na-gi.net/case/28/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[tumu-tutumu]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 19 Jun 2025 07:26:23 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[海と空の堺 海と空がひとつになる境をじっと見つめていると、互いが溶け合い、境界線がふわりと消えていくように感じられます。 その曖昧な境目には、昼と夜の営みが静かに繰り返されているのです。 東の空からは光がそっと顔を出し、・・・]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<h2 class="wp-block-heading">海と空の堺</h2>



<p class="wp-block-paragraph">海と空がひとつになる境をじっと見つめていると、互いが溶け合い、境界線がふわりと消えていくように感じられます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">その曖昧な境目には、昼と夜の営みが静かに繰り返されているのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">東の空からは光がそっと顔を出し、水平線の彼方から一日がはじまります。</p>



<p class="wp-block-paragraph">そして夕暮れには、ゆっくりと日が沈み、空も海も静けさに包まれていきます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">満ち欠けを繰り返す月もまた、同じ場所で同じ営みを続けています。</p>



<p class="wp-block-paragraph">この日常の繰り返しの中に、どこか終わりのない循環と、確かな秩序を見出すことができます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">境界線が曖昧になればなるほど、そこには広がりと無限の可能性が宿るのかもしれません。</p>



<p class="wp-block-paragraph">海と空が溶け合う瞬間は、自然の静かな息遣いを感じるとともに、私たち自身の内面もまた溶け合い、静かにひとつになるひとときのように思えます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">この風景を見つめながら、時の流れと自然の営みを思い、詩を紡ぐ手が止まらなくなるのです。</p>



<p class="wp-block-paragraph">海と空の境がぼんやりと溶けるように、言葉もまた心の中でゆっくりと溶け合い、やわらかな調べとなって紡がれていきます。</p>



<p class="wp-block-paragraph">そんな静かな世界のなかで、私はただ、深い息をつき、自然の声に耳を傾け続けるのです。</p>



<h2 class="wp-block-heading">意訳</h2>



<p class="wp-block-paragraph">海の神よ、空さえも溶かすようなまばゆい陽の光を<br>毎日昇らせ、見守り、運んでくださる――<br>あなたのその永遠のような愛が、この世界を育んでいるのです。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>夏空に 烏の経の 下の君 憐れむ風を 頬にうけつつ</title>
		<link>https://na-gi.net/case/25/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[tumu-tutumu]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 19 Jun 2025 07:13:50 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[夏の匂いと風の薫 四季にはそれぞれ匂いがあり、四季ごとに風が運ぶ薫りも違います。四季の風を頬に受けると感情がゆれて和歌をつくろうと思うのです。 風を感じる余白 この和歌は少し切ない風のお話でした。風というものは薫り以外も・・・]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<h2 class="wp-block-heading">夏の匂いと風の薫</h2>



<p class="wp-block-paragraph">四季にはそれぞれ匂いがあり、四季ごとに風が運ぶ薫りも違います。<br>四季の風を頬に受けると感情がゆれて和歌をつくろうと思うのです。</p>



<h2 class="wp-block-heading">風を感じる余白</h2>



<p class="wp-block-paragraph">この和歌は少し切ない風のお話でした。<br>風というものは薫り以外もたくさん運んできます。</p>



<h2 class="wp-block-heading">意訳</h2>



<p class="wp-block-paragraph">夏の高い空を、カラスがゆっくりと飛んでいく。<br>その黒い影の下にいるあなた――<br>あなたのことを、ふと哀れむような風が吹き、<br>私の頬にも、それがそっと触れてきた。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>梅雨風の 烏流るる 鴨川の 句を奏るる 葉も止まりける</title>
		<link>https://na-gi.net/case/23/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[tumu-tutumu]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 19 Jun 2025 07:03:56 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[鴨川の大橋は 鴨川の大橋と呼ばれる橋の近く刑場が多かったそうです。鴨川の流れる風を感じると悠久のときを感じるとともにどうか風が止まりませんようにと願ってしまいます。 意訳 梅雨の風にのって、鴨川の空をゆらゆらと流れていく・・・]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<h2 class="wp-block-heading">鴨川の大橋は</h2>



<p class="wp-block-paragraph">鴨川の大橋と呼ばれる橋の近く刑場が多かったそうです。<br>鴨川の流れる風を感じると悠久のときを感じるとともにどうか風が止まりませんようにと願ってしまいます。</p>



<h2 class="wp-block-heading">意訳</h2>



<p class="wp-block-paragraph">梅雨の風にのって、<br>鴨川の空をゆらゆらと流れていくカラスたち。<br>その風に合わせるかのように、誰かの詩が口ずさまれ、<br>葉のざわめきさえも、そのひととき、ぴたりと止んだ。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>紫陽花の 葉を渡りゆく 蝸牛 行き交う人も 遊びに見ゆる</title>
		<link>https://na-gi.net/case/16/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[tumu-tutumu]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 19 Jun 2025 05:56:23 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[梅雨の雨の日に匂い立つ紫陽花 梅雨の雨音が、日常の喧騒を少しだけ遠ざけてくれる日。薄曇りの空の下、庭先に咲く紫陽花が、しっとりと濡れて香り立つ。近づけば、その花の葉の上を、一匹の蝸牛がゆっくり、ゆっくりと渡ってゆくのが見・・・]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<h2 class="wp-block-heading">梅雨の雨の日に匂い立つ紫陽花</h2>



<p class="wp-block-paragraph">梅雨の雨音が、日常の喧騒を少しだけ遠ざけてくれる日。<br>薄曇りの空の下、庭先に咲く紫陽花が、しっとりと濡れて香り立つ。近づけば、その花の葉の上を、一匹の蝸牛がゆっくり、ゆっくりと渡ってゆくのが見えた。</p>



<p class="wp-block-paragraph">その姿を見つめながら、ふと、思う。<br>この小さな生きものの目に、私たちはどのように映っているのだろう。傘を片手に急ぎ足で行き交う人々、バスや車が忙しげに走り過ぎていく音。目まぐるしく変わる景色を背に、私たちは何かを追いかけるように、今日も時を過ごしている。</p>



<p class="wp-block-paragraph">けれど、蝸牛の歩みから見れば──そのすべてが、遊んでいるようにも、踊っているようにも映るのかもしれない。<br>たった数歩で花から花へ移るその世界では、人の営みはきっと、ゆるやかな風のように、ただそこにあるもの。</p>



<p class="wp-block-paragraph">そんな風に思うと、蝸牛と目が合った気がして、わずかに胸があたたかくなった。<br>それはどこか懐かしくて、そして少し切ない、雨の日の対話。</p>



<h3 class="wp-block-heading">意訳</h3>



<p class="wp-block-paragraph">紫陽花の葉の上をのんびりと渡っていくカタツムリ。<br>その姿を見ていると、行き交う人たちさえ、<br>まるで遊びに来ているだけのように思えてくる。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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